甘酒で風邪が治るって本当?免疫力をサポートする栄養成分と健康的な選び方
「甘酒は風邪に効くって聞いたけど本当かな?」
「健康的な甘酒の選び方を教えてほしい」
日本伝統の飲み物である甘酒は「飲む点滴」と呼ばれる栄養豊富な飲み物です。
消化がよく、体に必要なエネルギーを素早く補給できるため、弱った体のサポートにも役立ちます。そのため、風邪をひいたときに甘酒を飲む人もいるほどです。しかし、本当に甘酒で風邪が治るのでしょうか。
本記事では甘酒が風邪に効果的なケースや、健康的な選び方について紹介します。
甘酒の米麹と酒粕の違い
甘酒は米や玄米をもとに作られた飲み物です。
とろみと強い甘みが特徴で、起源は古墳時代の「日本書紀」の中にある「天甜酒(あまのたむざけ)」や「醴酒(こさけ)」とされています。西暦でいうと720年前、今から約1,300年も前に誕生していたそうです。
そんな甘酒には米麹と酒粕の2種類があります。
ここでは2つの異なる甘酒の特徴を見ていきましょう。
- 米麹甘酒の特徴
- 酒粕甘酒の特徴
米麹甘酒の特徴
米麹甘酒は、米と米麹から作られた甘酒です。
麹菌を加えて発酵させることで完成します。アルコールや砂糖が含まれていないため、米本来の自然な甘みを味わえるのが特徴です。
ブドウ糖、オリゴ糖、必須アミノ酸、ビタミンB群などが含まれており、免疫力アップに役立つとされています。酒粕甘酒よりも低カロリーなものが多いです。
市販の甘酒の多くは米麹を使ったものになっています。
酒粕甘酒の特徴
酒粕甘酒は酒粕を水に溶かし、砂糖を加えて作る甘酒です。
米麹甘酒とは違い、アルコールが少し含まれています。そのため、妊娠中の方や幼児には向きません。酒粕と日本酒の風味が強く、昔ながらの甘酒の味わいが特徴です。砂糖が入っているのでカロリーも高めになっています。
酒粕甘酒には、レジスタントプロテインと呼ばれる栄養成分が含まれています。
レジスタントプロテインは免疫力を高めたり、コレステロール値を下げる効果が期待できます。腸内環境を整えるサポートもしてくれる頼もしい栄養成分です。
カロリーは高くなりがちですが、酒粕ならではの栄養を摂れるのが魅力と言えるでしょう。
甘酒で風邪が治るって本当?
ここでは甘酒に風邪が治る効果があるのかについて見ていきましょう。
- 科学的な証明がされているわけではない
- 免疫力を高めて風邪予防はできる
- ただし飲み過ぎには注意
科学的な証明がされているわけではない
まず大前提として、甘酒が風邪に効果的といった科学的な証明はされていません。
風邪薬のように熱を下げたり、喉の痛みを和らげる効果を期待するのはやめておいた方がよいでしょう。風邪薬の代替品として甘酒を飲んでも、風邪自体を治すことはできないのです。
甘酒に過度な期待を抱いて飲みすぎてしまうと、逆に具合が悪化してしまう可能性もあるので気をつけましょう。
免疫力を高めて風邪予防はできる
甘酒には風邪薬のような効能はないものの、免疫力アップをサポートする栄養成分が含まれているため、風邪予防や回復時のサポート効果などが期待できます。
例えば、甘酒に含まれるビタミンB群や必須アミノ酸は、体の抵抗力を高めるのに役立つとされている栄養成分です。消化吸収がよい甘酒は、風邪をひいて食欲が低下した際の栄養補給にも適していると言えるでしょう。
また、適度に温めた甘酒は、体の体温を上げて代謝をよくしてくれる働きも期待できます。特に寒い冬の風邪には、体温を温めて栄養補給もできる甘酒が重宝するはずです。
このような観点から、甘酒は風邪の予防や回復時に役立つ飲み物と言えるでしょう。
ただし飲み過ぎには注意
飲む点滴とも言われる甘酒ですが、飲み過ぎには注意しなければなりません。
なぜなら、甘酒はカロリーや糖質が多いため、飲みすぎると太る原因になってしまうのです。1日の摂取量は100〜200ml程度に留めておきましょう。
特にダイエット中の方は、飲み過ぎでカロリーオーバーにならないように気をつけてください。
甘酒に含まれる栄養成分:風邪予防にも
ここでは、風邪予防にも役立つ甘酒の栄養成分について見ていきましょう。
- オリゴ糖
- アミノ酸
- ブドウ糖
- ビタミンB群
- 食物繊維
オリゴ糖
甘酒に含まれるオリゴ糖は、腸内環境を整えて免疫力を高めるのに役立ちます。
オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内フローラのバランスを保つ効果があるとされる栄養素です。腸内環境が整うと、風邪をはじめ感染症に対する抵抗力が向上するとされています。
適度にオリゴ糖を取り入れることで、腸から強い体を目指せるでしょう。
アミノ酸
甘酒に含まれるアミノ酸は、体の修復と免疫系の強化に不可欠な栄養素です。
特に甘酒には体内で作ることのできない必須アミノ酸がすべて含まれています。免疫細胞の機能を高めたり、風邪から回復する際もアミノ酸が必要です。しっかりアミノ酸を摂ることで、体の防御システムをサポートする効果が期待できます。
ブドウ糖
甘酒に含まれるブドウ糖は、脳や体のエネルギー源となる栄養素です。
消化されやすいブドウ糖は、素早くエネルギーとして吸収されます。風邪をひいて弱っている体にも嬉しい栄養素です。疲労を感じたときは、甘酒を飲むことでリフレッシュできるでしょう。
ビタミンB群
甘酒にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などが含まれています。
ビタミンB群は、体の代謝をサポートして免疫システムを強化する栄養素です。体内でタンパク質が合成されるのを助ける効果も認められています。
健やかな体づくりや風邪予防に貢献する栄養素と言えるでしょう。
食物繊維
甘酒に含まれる食物繊維は、消化器系の健康をサポートして免疫力の向上が期待できる栄養素です。
食物繊維は善玉菌のエサになることで知られており、腸内環境を整えてくれます。腸の状態がよくなると免疫力や代謝が向上するとされているのです。また、便秘や肌質の改善も期待できます。
健康的な甘酒の選び方
ここでは、健康的な甘酒の選び方について3つのポイントを紹介します。
- 添加物が多く含まれていないか
- アルコールが含まれていないか
- ストレートタイプか濃縮タイプか
添加物が多く含まれていないか
市販の甘酒には添加物が多く含まれているものもあります。
例えば、日持ちをよくするために保存料や安定剤が添加されている甘酒は珍しくありません。中には水あめや砂糖、香料などが含まれている甘酒もあります。
添加物によってはカロリーが高くなってしまうので、ヘルシー志向の人はシンプルな原材料の甘酒を選ぶのがおすすめです。
アルコールが含まれていないか
甘酒を選ぶ際は、アルコールが含まれていないかもチェックポイントになります。
例えば、酒粕甘酒は微量のアルコールが含まれているものが多いです。風邪をひいているときに、アルコールを摂ると具合が悪くなる人もいるでしょう。
具合が優れないときは、アルコールが含まれていない米麹甘酒をおすすめします。
ストレートタイプか濃縮タイプか
甘酒にはすぐに飲めるストレートタイプと、水で薄めて飲む濃縮タイプがあります。
ストレートタイプは手軽さがメリットですが、時間がたつと味が変わるのがデメリットです。飲みきれるサイズの小分けパックを購入するのがよいでしょう。
濃縮タイプはパック入りや粉末タイプなどがあり、水で薄めて作ります。好みの濃さに調整できるのがメリットです。無添加のものも多く、料理のアクセントに使うこともできます。
普段は濃縮タイプを活用して、出先ではストレートタイプといった選び方もできるでしょう。
免疫力サポートに最適な甘酒を飲むタイミング
免疫力のサポートに最適な甘酒を飲むタイミングとしては、朝と夜がおすすめです。
朝に甘酒を飲むことで、一日の始まりに必要なエネルギーと栄養素を補給できます。ビタミンB群や、その他の栄養素が免疫システムの機能をサポートしてくれるでしょう。
また、就寝前に甘酒を飲むことで、疲労回復を助けてくれる効果が期待できます。甘酒によってはリラックス効果があるとされるGABAが含まれるものもあるため、心身ともにリフレッシュできるでしょう。
栄養満点の甘酒アレンジレシピ
甘酒でおすすめのアレンジレシピを3つ紹介します。
- きな粉甘酒
- みかんと甘酒寒天
- りんごと甘酒のスムージー
きな粉甘酒
甘酒と相性抜群のきな粉を使ったアレンジレシピです。
【材料】
- 2倍濃縮甘酒30ml
- 豆乳150ml
- きな粉小さじ1
【作り方】
- 豆乳に濃縮甘酒を混ぜる
- きな粉を混ぜる
- そのままor少し温めて完成
みかんと甘酒寒天
風邪をひいたときの栄養補給にも最適なアレンジレシピです。
【材料】
- みかん5個
- 甘酒450cc
- 粉寒天4g
【作り方】
- 型を冷やしておき、みかんをスライスする
- 鍋に甘酒を入れて火にかけ、沸騰したら寒天を入れてよく混ぜる
- 型にみかんを並べて寒天を流し入れて冷やしたら完成
りんごと甘酒のスムージー
ビタミンをたっぷり補給できるりんごと甘酒のスムージーです。
【材料】
- りんご大1/2個(約130g)
- 甘酒400ml
- ミント適量
【作り方】
- りんごのヘタと芯を取り一口サイズにカットする
- りんごと甘酒をミキサーに入れてなめらかになるまで攪拌する
- グラスに注ぎミントを添えて完成
まとめ
甘酒は「飲む点滴」とも称されるほど栄養価の高い飲み物です。
甘酒に含まれる栄養成分が風邪を直接治療するわけではありませんが、オリゴ糖、アミノ酸、ブドウ糖、ビタミンB群、食物繊維などの成分は免疫力のサポートに役立ちます。風邪の予防や回復時などは、甘酒を飲む価値があると言えるでしょう。
ヘルシー志向の人は添加物が少ない甘酒を選ぶのがおすすめです。また、体が弱っているときはアルコールが含まれていない米麹甘酒がよいでしょう。
ただし、甘酒はカロリーや糖質が多いので飲み過ぎには注意してください。
ご自身に合った適量を見つけて、健康的な生活を目指しましょう。